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 九月三日 金曜日
 きょうはたんじょうびだった。
かあさんはおさけをのんでいた。とうさんはいえにいなかった。いもうとはおきにいりのあきかんでずっとあそんでいて、ぼくにはみむきもしなかった。
ぼくもついさっききょうがたんじょうびだってことにきがついたんだけど、ほかのだれもしらないみたいだった。かあさんに、きょうぼくのたんじょうびだよというと、あんたいくつだっけとききかえされた。
ぼくもおぼえていなかったので、ぼくはこたえなかった。
かあさんはおさけをのむとひとがかわってしまう。いっつもおおごえをあげてなきだす。そしててあたりしだいものをなげる。ぼくはいもうとのシェラスティをかばってこどもべやににげこむ。
きのうはコップがすねにあたって、しばらくうごけなかった。そばにいてくれたのはシェラスティだけだったけど、だれもいないよりはましだとおもった。
それにしても、ほんとにぼく、いくつだっけ?

 九月五日 日曜日
 きょうはたぶんせいしょにでてくる「あんくそび」っていうひだとおもうんだけど、やっぱりとうさんはいえにいなかった。もうあのひとのことを2しゅうかんもみていないきがする。かおもよくおもいだせない、かみのけのいろはプラチナブロンドだったはずだけど。
あさはやくからきょうかいのかねがなっていた。かあさんはふつかよいでべろべろになっていて、おきようともしなかったから、しかたなく黒パンをきってシェラスティといっしょにたべた。シェラスティはきょうはなぜかきげんがわるかったけれど、おきたかあさんはねむっているときよりやっかいだからシェラスティをなだめすかしてしずかにさせた。そしたらシェラスティはにっこりわらって自分の黒パンのかけらをぼくにくれた。
せんせんしゅうこっそりシェラスティとミサにいったとき、しんぷさんがクリスマスについてはなしてくれた。はやくクリスマスがくるといい。クリスマスに、ぼくはやさしいパパとママをサンタクロースさんにおねがいするんだ。そしたらもう、ぼくがぶたれることもシェラスティがぶたれることもないだろう。

 九月八日 木曜日
 きょうひさしぶりにとうさんがかえってきた。かえってくるなりかあさんになぐりかかった。かねはどこだとどなりちらして、シェラスティのおなかをつよくけったので、シェラスティはきぜつした。ぼくがシェラスティをベッドにつれていこうとすると、こんどはとうさんはぼくのあたまをなぐった。ちょっとめのまえがしろくなった。ぼくはあわててシェラスティといっしょにしんしつににげこんだ。シェラスティはぐったりしている。できればミルクをのませてやりたいけど、こわくてキッチンにいけない。キッチンでとうさんとかあさんがおおげんかをしている。おかねなんかもうないとか、さけをのませろとか、そんなことだ。このまえとうさんがかえってきたときもそうだった。
でもぼくはしってる。かあさんはとうさんにだまって、おさけをかってのんでるんだ。そしてなきだす。ものをなげる。それがぼくたちにあたってけがをする。
まどからみたら、うばぐるまをひいたきれいなおんなのひとが白いパンをかっていた。きているものはかあさんがきているものよりずっとせいけつだったけど、たぶんねだんはかあさんのとおなじくらいだ。
あ、シェラスティがうごいた!そんなになぐられたあとはひどくないみたいだ。
はやくクリスマスがくるといい。

 九月十三日 火曜日
 さっき、クリスマスまでにはまださんかげつもあることにきがついた。あとさんかげつもあのいやなとうさんとかあさんにふりまわされなくちゃいけない。ちょっときがとおくなりそうだ。でも、がんばってずっとかみさまにおいのりしていればきっとクリスマスなんてすぐにくるだろう。
シェラスティに、やさしいパパとママがほしいかときいてみることにする。実をいうと、まだあのこにはなんにもおしえてないんだ、ぼくがサンタクロースにとっておきのおねがいをよういしてあることを。ぼくはきっとわるいこだから、ぼくだけがおいのりしてもかみさまはきいてくれないだろうけど、でもシェラスティみたいなこがいっしょにおいのりしてくれたら、きっとかみさまもおねがいをきいてくれるだろう。
ああ、ほんとに早くクリスマスが来ないかなぁ。

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